はじめに
多くの方々の強い志で実現した日本のプロサッカーリーグが開幕して30年。
熱狂のなか幕を開けたJリーグでは、世界のスター選手の輝くプレーに多くの人々が魅了され、
1998年には念願のW杯初出場を果たし、以降、数多くの選手が世界へ旅立ち、
その活躍の姿を日本へ届けてくれています。
今ではW杯出場は「夢」ではなくなり、
泥臭く掴んだ一点に湧いていた頃が嘘のように、さらなる高みを目指す舞台へと変わりました。
けれどその一方で、日常の中でボールを蹴る機会は、いつの間にか減ってしまった気がします。
大人になり、ボールを蹴ることから遠ざかり、サッカーから実質的な“引退”をしている人も多いのではないでしょうか。
私は日本プロサッカーの歩みとともに生きてこられた幸せ者です。
そしてこれからも、サッカーを楽しみながら生きていきたい。
サッカーは「みんなで」やるものです。
その楽しさや奥深さを、多くの人と共有していきたいと思っています。
CkenCke構想は、“サッカーを楽しむことで生きていく”ことを実現するための構想です。
CkenCke構想とは
CkenCkeでは、「サッカーに誘い、誘われる」機会を増やすことを目指しています。
サッカーを「生涯スポーツ」と「競技スポーツ」の大きく2つの面から捉え、
・年齢、時間、体調といった【個人面】
・場所などの【環境面】
・人との関わりなどの【仕組み面】
の障壁を、それぞれの視点に立って少しずつ取り除いていくことで、
誰もがサッカーに「関わり続けられる環境」を整えていくことを目的としています。
生涯スポーツの面(健康的な視点)
病気をきっかけに健康の大切さを痛感した経験から、
「大人が無理なくサッカーを楽しめる場」を増やしたいと考えています。
その第一歩が、柏市で始めた “ゆるサカサークル”。
運動に自信がなくても、笑ってボールを追いかける時間を共有できる場です。
大人たちが健やかに、そして少し誇らしく生きていけるような地域づくりを目指しています。
年を重ねても、上手くなくても、
それでも「めっちゃ楽しそうにサッカーしてる」——
そんな姿があふれる街って、すごく素敵だと思いませんか?
競技スポーツの面(経験的な視点)
子どもたちがサッカーを通じて健やかに成長できる環境を、地域で整えることを目標としています。
炎天下の練習、長時間の拘束、勉強との両立、場当たり的な指導…。
現場にある課題を少しずつ解いていき、勉強・家族・仲間・夢をバランスよく両立できるような新しい仕組みを模索していきます。
サッカーは「認識 → 検討 → 判断 → 実行」の繰り返しで、
常にミスと向き合うスポーツです。
それを個人のスキルや仲間の力で打開していく姿勢は、
ビジネスや社会での生き方にも通じるものがあると思っています。
CkenCkeの取り組みを通じて育った子どもたちが、
将来、仕事の場で力を発揮したり、
あるいは日本をW杯優勝へ導く選手になるかもしれません。
そう考えると、少しワクワクしませんか?
夢として描いていること
CkenCkeの構想の先には、「柏サッカー祭り(仮称)」という夢があります。
最近の子供たちはお祭りに「行く」ことはあっても「つくる」経験が減っているのではないでしょうか。
このお祭りでは、地域の子どもから大人まで、年代ごとにチームが試合を行い、
フィールドの周りには、よくある露店ではなく、地域のコーヒー屋さんやパン屋さんが並びます。
そして夜には、芝生の上から花火を見上げる——。
「観に行く」だけでなく、「つくる側になる」お祭りです。
年に一度、柏の街の人たちがこの日を待ち遠しく思うような、
そんなサッカーと地域が一体になる日を目指しています。
さいごに
CkenCke構想は、まだ何も形になってはいません。
けれど、一つひとつの活動を通じて、
健康・教育・地域交流を支えるような仕組みを育てていけたらと思っています。
「サッカーを楽しみながら生きていく」
その輪を、柏から、少しずつ広げていきます。
構想の実現には、地域に根付いた活動と、志を共にする仲間が欠かせません。
一緒に未来をつくっていける仲間との出会いを、心から楽しみにしています。
